概要
漆黒の体毛に纏われた巨大な狼の姿を持つ聖域の守護者。「深淵の森狼」、「静寂の獣」とも呼ばれる。自ら進んで戦いに身を置く誇り高い種族で、その姿はドラゴン種族の「戦士」と形容される。現在はフェンリルの森にのみ棲息し、聖域に近づく人間に対して無差別に殲滅を行う恐るべき衛兵と化している。
聖域の直上に開いたアイルマンカー結界の穴から女神が再度の侵入を試みた際、結界の崩壊と同時にディープ・ドラゴンの全種族は一斉に女神に捨て身の攻撃を仕掛け、強制空間転移の魔術によって女神を世界の果てへと消し飛ばすことに成功した。が、それと引き換えにディープ・ドラゴン種族は幼生のレキ一頭を残して全滅してしまった。
生態
その巨体ゆえ、普段は水中で生活している。皮膚からは脂が分泌され、常に毛並みが湿っている。
「静寂」の二つ名が示す通り、ディープ・ドラゴンは一切の音を発しない。鳴き声を上げず、足音や雑音を立てることすらない。
生きるための食事やガス交換(呼吸)を必要とせず、また生殖も行わない。種族の中で1頭が死ぬことがあれば、新たに1頭を魔術で生み出すことで、種の個体数を減らすことも増やすこともしない。
自らの質量を自在に変化させる生態的な能力を持ち、肉体の巨大化や縮小化、果ては質量をゼロにして世界から消える事で疑似的な空間転移まで出来る。
通常の狼と同じくリーダーを司令塔とする群れを形成するが、彼らの中に「個」の自我は存在せず、全種族が同一の思考の下に統制された「全」として行動している。これはディープ・ドラゴン種族が女神の呪いの影響で言葉を失い、意思伝達が不可能となったことが原因で、彼らはそれぞれが持っていた意識を一つに融合させることで、かろうじて種族の意思をまとめることができている。
種族の長となる者は代々「アスラリエル」の名を襲名する。次代のアスラリエルが成体となった時点で「名の継承」が行われ、それと共に旧いアスラリエルは滅ぼされる運命にある。
次元渡り獣
ディープ・ドラゴン種族が持つ異質な生態には謎が多かったが、この種族は元々はこの世界(蛇の中庭)を発祥とする生物ではなく、次元渡り獣「ピルグレオ」と呼ばれる、異世界から次元を越えて来訪した外来生物であったことがスウェーデンボリーにより明らかにされた。
暗黒魔術
呪い
言葉を失っている。平常状態では意思伝達はおろか、思考を行なうことすらできないが、自分自身に魔術(精神支配)を掛けることによって、かろうじて自我を維持している。唯一、ディープドラゴンの思念を仲介できる存在である使い魔を介することでのみ、ディープ・ドラゴンは他者とコミュニケーションを交わすことができる。