戦術騎士団
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戦術騎士団(せんじゅつきしだん)とは、原大陸の魔術戦士による軍事組織である。正式名称は戦闘魔術騎士団(せんとうまじゅつきしだん)。魔術戦士騎士団(まじゅつせんしきしだん)とも呼ばれる。ラポワント市の指揮下に組み込まれてからは市王戦術魔術士団(しおうせんじゅつまじゅつしだん)に改名された。
概要[編集]
原大陸唯一の戦闘を目的とした魔術士の部隊。騎士団員は例外なく厳格な審問を経た上で「特殊な」戦闘訓練を受けた魔術戦士によって構成される。仮面を貫く剣の紋章を団のシンボルとしており、しばしばこれが「魔王の印」と誤認されることがある。なお、キエサルヒマ大陸の騎士団との関連性はない。
来歴[編集]
最初期はオーフェン、マジク、エド・サンクタムの3人で結成され、それから20年の歳月を経た『第四部』では総員74名にまで規模を拡大させた。公的には、騎士団のトップは隊長のエド・サンクタムであり、オーフェンの肩書きは外部顧問という体裁になっているが、有事の際にはオーフェンが実質的な最高指揮官に舞い戻ることは周知の事実であった。
『原大陸開戦』でのシマス・ヴァンパイアを中心とした革命闘士の騎士団基地襲撃事件により、騎士団はその半数を失う壊滅的な打撃を受けた。この大敗の責を負ったオーフェンは現在の立場から退き、それまで予備役として在籍していたマジクがその跡を継いで新たな総司令となった。
ラポワント市がカーロッタ派との全面戦争を決意した事に伴い、辞任後も影響力を行使し続けるオーフェンを追放、クレイリー・ベルムを総司令とする新しい体制に再編された。
活動[編集]
原大陸で発生する魔術士の犯罪や壊滅災害(神人種族被害)および人間の巨人化(ヴァンパイア)への対応を役目としている。
原大陸では議会の定める法律により魔術士の活動に逐一制限が課され、特に組織的な行動を起こす場合には必ず議会の承認を得る必要があり、それは騎士団も例外ではない。ただし、壊滅災害の発生時においてはその限りではなく、緊急の措置として神人対抗措置執行判定資格所持者の判断でこの制限を解除することができる。
神人種族やヴァンパイアとの直接的な武力戦闘を主任務としているため、当然ながら殉職率が高い。おまけに、ヴァンパイアの身体から発せられる強い毒素にさらされて、遺体が触れられないほど損傷を受ける事も珍しくない。そのため、魔術戦士の葬儀では棺に遺体が収められない事がしばし起きている。
騎士団員はヴァンパイアの脅威に対抗するため危険な殺人技術を修得し、時には汚い手段を行使する必要にも迫られる。捕虜にしたヴァンパイアは最終的に消去されるため、不文律的に拷問が黙認されている。
遠隔地の隊員同士ではネットワークを利用した精神感応によって通信が行われており、その際には本名ではなく後述のコードネームで呼び合っている。
審問[編集]
魔術戦士及び戦術騎士団は、入団志望者を騎士団員による審問にかけた上で選別が行われる。しかし、審問の目的はあくまでも魔王術の適性を持ったものを探し出す事にあり、査定は形だけのものである。審問を通過すれば、後に退くことは認められない。
規則[編集]
騎士団には降格や免職といったペナルティの制度が存在しない。騎士団の持つ役割の性質上、公では知らされない情報を共有する事になるため、一度騎士団に入団した以上は放免される事が無く、また自主的な退団も許されない。もし仮に辞めようとした団員が現れた場合は、即時に抹殺対象に指定され、場合によっては隊長のエド・サンクタム直々の手で粛清される事もあった。それらは魔王術の漏洩を防ぐための措置であり、存在が公表されてからは退団も可能となった。
神人対抗措置執行判定の票が投じられた場合、その戦闘に参加した全ての魔術戦士は作戦終了後に議会に出頭して報告を行う義務がある。無論、一度に参加者全員が出頭するわけにいかないため、何人かに分けて数日がかりで報告会を行う事になる。
オーフェンが在任していた頃は、幹部間で面倒な問題を話す際は全員を校長室に呼びつけることが多く、自然と校長室が極秘会議の場となった。クレイリーの校長就任後も同様の手段を取るようになり、半ば慣習となっている。
オーフェン不在時の指揮系統は曖昧な状態となっている。幹部間の衝突を反らすためにあえてその状態を維持されてきたが、オーフェンの更迭後はその弊害が実際の問題となって表れた。例えば、非常時における情報が騎士団でなくクレイリーの校長室に送られてくる等、情報伝達に混乱が生じている。
装備品[編集]
神人種族やヴァンパイアに対抗するため、魔術戦士は魔術のみならず様々な道具や技術を駆使する必要がある。
任務に赴く際は、標準装備として騎士団の戦闘服(ミリタリーベストと肩・腕部を覆う甲冑の一部のような金属製のプレート)を着用し、格闘用ナイフに毒針、速射用ボウガン等の武器を携帯する。また服薬暗殺術の心得として覚醒剤さえも持ち歩く。
危険な任務を可能な限り安全に進めるべく様々な装備品が研究開発されているが、云うまでもなく装備研究は試行錯誤の繰り返しで、失敗作も多く、衝撃阻止サポーターもそれら失敗作の一つである。
本拠地[編集]
戦術騎士団の本拠地はラポワント市郊外の荒地に建てられ、魔術戦士の訓練場も兼ねている。地下基地には魔王術記録碑の保管室と、捕縛したヴァンパイアなどを拘置する牢獄、尋問室が設けられている。基地の建設の際には魔術が多用され、地下部分の壁や天井は全て金属で補強されているため、通常の技術では成し得ない強度を誇る。
『約束の地で』におけるヴァンパイアの襲撃で施設の一部を破壊されたが、その後大幅に強化された上で再建された。しかし、その3年後の『原大陸開戦』でのシマス・ヴァンパイアの襲撃によって基地は完全に壊滅し、魔王術記録碑も破壊されてしまった。以後はスウェーデンボリー魔術学校を本部に移転、校内に戦闘訓練用の施設を築くなど再編に向けて準備が進められている。
内部事情[編集]
もともと独立心が強い魔術士の志願者から更に選りすぐったため、自尊心が強過ぎる跳ね返りが多い。腕は立つが性格に問題がある者が多く、組織の一員としての意識が薄くまとまりがなく、最古参であるマジクをして「田舎のやくざ集団」と言わしめている。
まとまりのなさを理想や理念、補償等の利得で補おうとするが、その分、組織としての機能を高める事が二の次になってしまい、オーフェン不在においてはその弊害が現実問題として表出する。また、同じ団員であっても、オーフェンやクレイリーにマジクといった「教師組」と、エド・サンクタムを中心とする「現場組」とでは意識に微妙な温度差があり、深刻な対立関係に至っていないが問題になっている。
クレイリーが総司令に就くと、エド・サンクタムやビーリー・ライトなど彼と反りの合わない団員は自主的に退団し、フィンランディ商会やキルスタンウッズ開拓団等に再就職した。魔術戦士隊はエドの腹心であったシスタが後任として隊長職に就き、旧エド派を取りまとめる立場となった。
騎士団員一覧[編集]
太字はコードネーム。
- オーフェン・フィンランディ=クプファニッケル - 外部顧問(総司令)→辞任
- マジク・リン=ブラディ・バース - 予備役→総司令→市王顧問
- エド・サンクタム=ナイトノッカー - 隊長(退団)
- クレイリー・ベルム=マンイーター - 騎士教官→総司令
- ビーリー・ライト - 騎士教官(退団)
- シスタ → 隊長
- マシュー・ゴレ(殉職)
- ベクター・ヒーム
- アムサス(殉職)
- エリック・マイヤ(殉職)
- メイヨ・エグザクソン(殉職)
- ベイル・ケリー
- ジラ・セイブル(殉職)
- ボイド(殉職)
- ラッツベイン・フィンランディ(退団)
- エッジ・フィンランディ(退団)
- スティング・ライト(退団)