概要
およそ200年前、時の教主ラモニロックによって築かれたユグドラシル神殿が教会の発祥と言われている。キムラック教は、キエサルヒマ大陸における最大規模の宗教であり、貴族連盟によってキエサルヒマの「国教」として認められている。教義では運命の三女神を信奉し(ただし偶像の崇拝は禁じられている)、ドラゴン種族との混血によって生まれた人間(つまり魔術士)を忌むべき存在としている。
大陸全土に分布する「教会」と名のつく施設は、その大部分がキムラック教会に準じるものだが、中央(神殿庁)による管理・統制は一切行われておらず、土地によって教会の方針が多極化してしまっているため、総本山であるキムラック市以外の教会は、ほぼ別個の宗教と言っても過言ではない。
古くから貴族連盟に取り入ったことでキムラック教は国教としての体面を得ているものの、貴族連盟の統治政策と積極的に結びついているわけではなく、むしろ強大な組織力を持った現在のキムラック教会は貴族連盟に危険視されている。
かつては独自の軍隊を保有していたが、砂の戦争の戦後処理の際に解体された。
信者
キムラック市に住む人間は、例外なくキムラック教会の信者である。キムラック市の信徒は、「学びの壁」と呼ばれる街壁の内側、通称「神殿街」に居住する都市信徒約17万人と、教義によって都市に入ることを許されない、多数の「外輪街」の住人に分けられる。また、教会に従事する教師や、教会神殿庁の役職に就く「神官」と呼ばれる高位の信徒が約2000人いる。
キムラック教信徒は、教会のカラーである「白」を基調とした装束を身に着けている。
神殿庁
神殿庁(しんでんちょう)とは、ラモニロックを頂点とする、キムラック教会およびキムラック市の司法と行政を執り行う、教会の最中枢機関である。神殿庁は「純血の証が認められない人間は神殿街に入ることを許さない」という教会の方針を200年間頑なに遵守してきたが、この排他的な宗教観念が長きにわたって多くの都市外信者の不満を募らせ、後にサルア、メッチェンらによるトップへの造反(キムラック事変)、ひいてはキムラック市の崩壊を招く結果へと導いた。
魔術士との確執
キムラック教会は古来より魔術士と激しい対立を続けている。その発端は、魔術士狩りの時代が収束して間もない頃、教主ラモニロックによって発せられた「魔術士の全処刑」宣言である。ラモニロックは「汚れた血」であるとする魔術士の血をキエサルヒマ大陸から根絶するため、「死の教師」と呼ばれる非公式の暗殺部隊を組織し、魔術士を徹底的に排斥した。
キムラック教は表向きは単なる女神信仰であり、大多数の信徒もそれを信じている。しかし、ラモニロックが意図するキムラック教会の真の意義は、ドラゴン種族の血を継ぐ魔術士を排斥することで、それ以外の人間種族を「女神の呪い」という破滅の道連れから救うことにあった。これを知るのは当のラモニロックと、最終拝謁を許された数少ない高位の神官のみである。
教師
- マクドガル(元教師)
- ラポワント・ソリュード
死の教師
詳細は「死の教師」を参照