人間種族
提供: オーフェンペディア
人間種族(にんげんしゅぞく)とは、キエサルヒマ大陸および原大陸に棲息する生物種族の一つ。近代以降における大陸随一の霊長種であり、棲息地域は大陸のほぼ全域にわたって分布している。
概要[編集]
現在のキエサルヒマ大陸において最も繁栄している種で、実質的な大陸の支配を行っている。容姿はドラゴン種族の一つである天人種族(=ウィールド・ドラゴン)と酷似している。髪の色は黒、茶、金、赤など様々であるが、貴族と呼ばれる人種には金髪碧眼が多く、平民は黒髪黒眼が一般的とされる。
歴史[編集]
人間種族の祖先は元々は外洋のとある大陸(原大陸と考えられている)に棲息していたが、およそ300年程前にキエサルヒマ大陸に漂着した。当時、キエサルヒマ大陸全土はドラゴン種族と女神ヴェルザンディによる凄惨な戦場と化しており、漂着した人々は否応なくこの戦火に巻き込まれてしまった。これにより、人間種族はそれまで有していた独自の文明と歴史の一切を失う羽目となり、終戦直後の彼らの生活は原始のレベルにまで退行していたという。
窮に瀕した人間たちは、キエサルヒマ大陸を統治していた天人種族の庇護を受けることになった。天人は人間とよく似た容姿を持っていたため、両者の交友は円滑に進んだ。人間は天人が建設した都市を間借りして居住し、教育を施され、失った文明と文化を飛躍的に回復させていった。現在の人間種族が持つ知識や技術のほとんどは、この時代に天人から与えられたものが基礎になっている。また、後に人間と天人が交わったことで、「半人間半ドラゴン」という新たな人種が誕生し、彼らは後に音声魔術士として覚醒することになる。
およそ200年前、天人種族と魔術士が破局を迎えた魔術士狩りの戦争を経て、天人は聖域に隠遁し、以後歴史の表舞台から姿を消した。キエサルヒマ大陸が統治者不在の無政府状態となると、人間種族の一派閥であった王侯貴族たち(後の貴族連盟)は、「天人支配からの脱却」と「王権の継承」を唱え、東部に新たな王都メベレンストを築き、遷都を行った。その後、貴族内革命によって王家を打倒した貴族連盟はついに大陸の覇権を握り、これ以降キエサルヒマ大陸は急速に人間種族本位の社会へと遷移していった。
人種[編集]
血統・身分[編集]
- 王族
- 王家の血族。貴族内革命により王家が滅びたため現在は存在しない。
- 貴族
- 現在のキエサルヒマ大陸の支配階級。かつての王家に縁のある家柄と血統を持つ。金髪碧眼が特徴。「貴族」の項を参照。
- 平民
- 一般庶民。人間種族の大多数を占める。黒眼黒髪が特徴。
- 聖域人
- ドッペル・イクスとも呼ばれる聖域で生まれ育った人間。300年前にキエサルヒマ大陸に漂着した人間種族の祖先のうち、労働力として聖域に招かれた者の末裔にあたる。
- 半天人
- ウィールド・ドラゴン種族(天人種族)との交配後に発生したドラゴンを血を引く人間。「魔術士」の項を参照。
- 純血種
- 天人の血を一滴も混ぜない純血の人間。半天人の発生後、主にキムラック市において区別されるようになった。純血は正統なキムラック教徒として認められるために必須の条件とされている。
変異・改造[編集]
- 人形
- 天人種族による改造を受け、目的ごとに様々な魔術文字が施された人間。「人形」の項を参照。
- ヴァンパイア
- 神人種族との接触により巨人化を発症した人間。人間種族のルーツである巨人種族に近づいた状態とされる。「ヴァンパイア」の項を参照。
- クリーチャー
- 改造によって人為的に巨人化を引き出された人間。天人種族の研究からフォノゴロスを経てリベレーターで完成した。「クリーチャー」の項を参照。
勢力[編集]
キエサルヒマ大陸人間領における主要な勢力は、貴族連盟、大陸魔術士同盟、キムラック教会の3つに大別される。それぞれ表向きは政治的な協力関係を結びながらも、水面下では対立している。
赤光帝48年頃、キムラック崩壊によってキムラック教会が滅びたため、貴族連盟と大陸魔術士同盟が二大勢力として拮抗する形となった。間もなく両者は戦争状態に突入し、停戦後、それぞれ貴族共産会、キエサルヒマ魔術士同盟と改称されている。
原大陸開拓時代以降は、キエサルヒマ大陸と原大陸という新たな外交・対立構造が生まれた。
地人種族[編集]
ドラゴン種族がキエサルヒマ大陸に入植した当時「人間種族」と呼ばれていたのは、キエサルヒマ大陸の先住民である現在の地人種族である。地人はドラゴン種族の入植に伴って大陸の隅へと追いやられることとなり、その後の人間種族の台頭後も、住処を奪還しようとする意思は見せなかった。かつての凄惨な戦争を教訓として定められた不戦の掟に加え、彼らがドラゴン種族だけでなく人間種族をも恐れていたためと考えられる。
巨人種族[編集]
人間種族の正体(ルーツ)は、1000年前の神々の現出と同時に世界に実体化した巨人である。地人種族が「人間種族」と呼ばれていた時代、キエサルヒマ大陸に漂着した現在の人間種族の祖にあたる人々は、ドラゴン種族や地人種族から「巨人種族」と呼ばれていた。このことから、人間が現出した巨人であるという事実は当時から既に知られていたようだが、後世に天人種族が紡いだ歴史の中にはその事は一切記されていなかった。また、1000年前にドラゴン種族と戦争を起こした地人種族の女王「銀月姫」のゴーストが遺した言葉には、その時点でキエサルヒマ大陸には既に巨人種族が存在していたという可能性が示されている。
いずれにしろ、人間が知る歴史は天人に受け入れられた時代から300年間までしかなく、それより過去の歴史は定かではない。ドラゴン種族によって700年間もどこかに隔離されたのか、あるいは一度はキエサルヒマから放逐され、300年前に結界の隙間から漂着したのかは不明である。