大統領邸(だいとうりょうてい)は、原大陸大統領が居住し執務を行うための邸宅であり、原大陸政権の中枢を担う行政機関の通称でもある。
概要
アキュミレイション・ポイントの上座区に所在し、原大陸における人間領全域の行政を統括して担う。優秀な官僚を常駐させ、実務は大統領夫人のドロシー・マギー・ハウザーが行なっている。
来歴
原大陸の政治は当初、旧ニューサイト市議会による中央集権体制がとられていた。しかし、ラポワント市を始めとする各開拓村が自身の意見を発言できるまでに成長してくると、ニューサイトに権限が集中しすぎる事が問題視され、各市町村の意見をまとめる統合的な行政府が必要となった。
その矢先、デグラジウスの壊滅災害によってニューサイトは壊滅。元アーバンラマ資本家の勢力が弱体すると、ラポワント市への牽制も兼ねて行政府の実現が求められる。アキュミレイション・ポイントが首都として再開発される事に伴い、初の行政府として大統領邸を設置。壊滅災害で功績があったエドガー・ハウザーが初代大統領として選出された。
行政
原大陸全体における政策は大統領邸から出され、立法府であるラポワント市議会の合意を経て発布されるものと思われる。壊滅災害などに代表される有事に際しては迅速かつ専制的に対応するための権限を持ち、必要とあれば直属の部隊である軍警察を動かす事もできる。当初は戦術騎士団も大統領邸の指揮下に置かれる予定だったが、より広範に対応すべく神人対抗措置執行判定の制度が制定されたため、大統領邸だけが優先的に騎士団を動かす事は出来ない状態にある。
外交
現在ではある程度自活が出来るまで発展した原大陸だが、更なる開拓と発展のために多くの移民と資本が必要となるため、キエサルヒマとの国交は必要不可欠となっている。しかし、原大陸開拓の発端が魔王オーフェンのキエサルヒマ脱出と、結果として庇う形となったアーバンラマの一部資本家が内戦状態となったキエサルヒマに見切りを付けたこともあり、お世辞にも良好といえない状態にある。一時は神人種族メイソンフォーリーンによって航路が断絶されたこともあった。
また、初期開拓団が無断で海を渡り、開拓で上げた利益を税金として納めていない事を根拠にキエサルヒマ側は独立を認める意思を示していない。しかし、キエサルヒマも大陸魔術士同盟と貴族連盟という二つの政府があり、仮に原大陸がどちらに納税するかによってキエサルヒマの支配構造が再編される可能性があるため、現時点では一時棚上げの状態にある。
原大陸政府はリベレーターの襲来をキエサルヒマによる侵略行為と見なしているため、今後国家として独立するにあたって重大な外交問題となる可能性がある。一方、サルア市王率いるラポワント市議会も同様の懸念を示しており、魔術士同盟がリベレーターのような侵略行為を企てた場合は現地に魔術戦士を送り込んで同様の報復を行うと声明を発表している。
政策
- 重債務者開拓民の救済
- 開拓公社によって不当な契約を結ばされ多額の負債を背負った開拓民を救済すべく、返済の支援を政策に入れることを検討している。しかし、元アーバンラマ資本家派の議員は返済支援に税金が使われることに難色を示しており、遅々として進んでいない。
- 開拓公社は原大陸からの撤退に際して開拓民に対するすべての債権を放棄したが、同時に開拓事業そのものも放棄しているため、別の意味で問題が発生している可能性がある。
- ニューサイト復興計画
- 大統領邸が百年後を見据えた理想の第一歩として立ち上げようとしている再開発計画のひとつ。これは大統領邸が港湾を押さえているものの内陸への開拓における利権をラポワント市に握られており、大統領邸主導による発展の方向性を示す必要に迫られたためだが、同時に悲願でもあった。しかし、実現のためには再編された戦術騎士団の協力が不可欠であり、ラポワント市議会との調整も必要となってくる。
問題
- 権力構造の統一化
- 現在の大統領制度は不備な部分が多く、細かい外交及び行政においては大統領を飛び越えて魔術学校校長に過ぎないオーフェンや一介の議員でしかないカーロッタ・マウセン等に話を通すほうが早いという状態がまかり通っている。リベレーターの襲来においてはそれが問題として顕著に現れ、後にサルア王家が誕生した事で問題はより複雑となった。今後キエサルヒマと渡り合っていくためには権力を集約する必要が生じ、今後の課題となっている。
- 選挙制度
- 大統領及び議員は各開拓村の代表者が話し合って決めているため、選挙という審議で選ばれたという正当性はない。現在の大統領制度も「ニューサイト壊滅のどさくさに紛れて権力を掠め取った」と裏で言われているため、この状況を改善すべく議員と大統領の選挙制度を作り出し、第一回大統領選挙の実現を目指して法整備を進めている。ただし、複雑な利権や軋轢が絡んでいるため、現在においてはまだ選挙制度の準備すら出来ていない。