天人種族の遺産
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天人種族の遺産(てんじんしゅぞくのいさん)とは、200年前に滅亡したウィールド・ドラゴン種族(=天人種族)によって生み出され、現在もその形を残す様々な道具または造形物の総称である。
概要
天人種族がキエサルヒマ大陸に遺した物品は、後年その全てが「遺産」と呼称されることになったため、その内容は武器・防具から日用品、他愛も無い造形物、オブジェまで多岐にわたる。その多くは魔力の秘められた魔術文字(ウィルドグラフ)が刻印されており、それによって様々な魔術の効力を発揮する。天人種族が行使する沈黙魔術は、魔術文字そのものが形を失わない限り半永久的に魔力が持続する性質を持つため、その使用法を理解してさえいれば誰にでも(異種族であっても)利用することが可能である。魔術士狩りの戦争の際、天人に与する人間種族(ドラゴン信仰者)に貸し与えられた対魔術士用の武器や防具には、いずれも強力な戦闘用の魔術文字が刻まれ、魔術士にとって恐るべき兵器となって牙を剥いた。
遺産の「解析」には魔術文字に関する高度な知識を必要とし、その研究と管理は《牙の塔》の専門スタッフが主導となって進められている。しかし、人間種族にとって魔術文字はその全貌の大部分が解明できていない未発達の分野であるため、発見はされても能力や使用法が依然として不明瞭な物も多く残されている。
前述の通り、魔術文字を損なわない限り遺産は魔力を維持していたが、ウィールド・ドラゴン種族の始祖魔術士であるオーリオウルが滅びた為、「第二部」後半にはすでに力が弱まりはじめ、その20年後にあたる「第四部」では完全に力が失われてしまっている。
20年後のオーフェンは沈黙魔術の完全な解析を達成し、さらにはその再現すらも可能にしており、実際に実験を通していくつかの遺産の複製を作り出している。
所有権
魔術士狩りの混乱が収束し、天人種族が聖域に隠遁した後に発足した貴族連盟は、自らを天人の後継者と名乗り、彼女らが遺した遺跡を含む全ての遺産の「相続」を宣言し、その所有権を主張した。これ以降、遺産の所有・使用・貸与・譲渡には、貴族連盟に対する申請と許諾の諸手続きが必要となり、遺産の無断使用および貴族連盟が把握していない遺産の秘匿などを王室令によって厳しく禁じ、これに反する行為に対しては「王権反逆罪」という極めて重い罪状が適用されることになった。建前上は、遺産の横領は天人から統治権を相続した貴族たちへの重大な反逆と見なせるためとされているが、実際には、容易に強大な力を発揮し得る兵器が、貴族連盟の統治に反発する反体制組織などに流出する危険性を憂慮しての措置であると推察されている。
分類
《牙の塔》がまとめた天人種族の遺産の類型パターンは、以下の4分類である[1]。
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- 表面に肉眼で確認できる魔術文字がある物
- 多くは、魔術文字の意味を理解したうえで、魔術文字を活性化させるなんらかのアクションがあった場合に発動する。特に強い力を物品に与える際にこの方式が採られている。これは魔術の媒体としての文字が、情報として明確に存在していたほうがより大きい効力を発揮するため、もしくは一時的にしか活性化させないことで、危険な効果を持った物品に対する制御と為すためと推測されている。
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- 手にしただけで所有者の思考に応じて独自に活性化する物
- 傾向としては日用品などに見られる。文字は表面からはうかがえないようになっている。これは、使用者が天人種族自身であった場合、その文字を見ただけで装置を活性化させることになり、かえって利便性が失われるからと推測されている。
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- #1と#2の特徴を両立させている物
- 魔術士狩りの時代、魔術士への対抗手段としてドラゴン信仰者たちに授けた武器がこれに該当する。
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- #1から#3のいずれにも当てはまらない物
- なんの力も持たず、魔術の媒体でもない。ただの道具かあるいはオブジェ。天人種族も生活を営んでいたことを忘れてはならない。
主な遺産の一覧
- 武器
- 防具
- 装飾品・日用品
- 生体兵器・擬似生命